市街化調整区域に家は建てられる?メリット・デメリットや注意点を解説

都市部よりも広い住環境でゆったりとした暮らしをしたいと考える方が増えています。

郊外の「市街化調整区域」は、土地価格が安く、広い土地を確保できるエリアです。

ただし、家を建てる際には厳しい建築条件があり、注意点もあります。

この記事では、市街化調整区域のメリット、デメリットを解説します。

土地選びで後悔しないための注意点についても参考にしてください。

この記事でわかること
  • 市街化調整区域のメリット、デメリットを解説します。
  • 市街化調整区域に家を建てるポイントをご紹介します。
目次

市街化調整区域とは?

参照:国土交通省「市街化区域と市街化調整区域」

「市街化区域」とは、市街化を積極的に行い、住宅や商業施設、公共施設などが整備される区域です。

一方、「市街化調整区域」とは、自然環境や農地を保護するため建築制限を設け、インフラも整備されていないことが多い区域です。

土地価格が安く、固定資産税が低く抑えられる反面、生活利便性は低いエリアです。

ライフスタイルや住まいに対する価値観の変化から、ゆとりある住まいを求めて市街化調整区域での建築を検討する人も増えています。

市街化調整区域での家づくりを検討する場合は、区域の特徴や建築条件をしっかり確認する必要があります。

市街化調整区域に家を建てる条件

市街化調整区域の土地は誰でも購入できますが、自由に家を建てられるわけではありません。

市街化調整区域は、原則として家の新築が制限されているからです。

ただし、一定の条件を満たせば「開発許可」を取得して住宅の建築が可能となります。

許可条件は地域ごとに異なるため、事前に役所に確認しておくことが大切です。

開発許可が下りる主な条件は、以下の通りです。

既存宅地(旧宅地)の場合

1971年以前から宅地として使用されていた土地

地縁者要件(自己用住宅)の場合

市街化調整区域内で、本人または親族が住んでいた土地

周辺環境に影響がない場合

公共施設やインフラ整備が不要で、近隣に悪影響を及ぼさない計画

開発許可の取得には、事前相談後に開発許可申請が必要で、審査から許可までに1〜3ヶ月かかります。

また、「親から相続した土地」や「地域に根ざした暮らし」を目的とする場合には許可が得られやすくなりますが、行政窓口や専門家に事前相談しておくと安心です。

市街化調整区域に家を建てるメリット

市街化調整区域に家を建てる場合、都市部にはないゆとりある環境が得られます。

ここでは「土地価格」「自然環境」「住宅環境」の3つのメリットをご紹介します。

メリット1:土地が安い

市街化調整区域の一番のメリットは、土地の取得コストが抑えられる点です。

土地価格を抑え、広い土地を確保できます。

広い駐車場や庭を確保でき、建物や内装にもコストをかけられるでしょう。

メリット2:自然環境が豊か

開発が制限され、自然が守られた市街化調整区域では、豊かな自然に囲まれた環境で暮らせます。

子どもが小さいうちは、山や田んぼ、川で虫取りや水遊びができ、自然体験を通して子育てができるでしょう。

また、家の敷地に広い庭や畑を作り、家庭菜園やガーデニングを楽しむことも可能です。

メリット3:住宅が密集していない

市街化調整区域では、近隣の建物が密集していないため、開放的な住環境を確保できます。

子どもやペットの泣き声なども気にせず、のびのびと過ごせます。

一方、都市部であれば、家の外からの視線が気になったり、日当たりが悪かったりすることもあります。

市街化調整区域では、周囲の建物による圧迫感もなく、プライバシーも確保しやすいでしょう。

市街化調整区域に家を建てるデメリット

市街化調整区域は、開発が制限された特別な土地です。

そのため、家を建てて家族と暮らす場合は、デメリットもしっかり把握することが大切です。

ここでは「インフラ整備」「生活の利便性」「建て替えの制限」「売却の難しさ」のデメリットをご紹介します。

デメリット1:インフラが不十分

市街化調整区域は、インフラが未整備のことが多く、整備には高額な費用がかかる場合があります。

上下水道が未整備の場合には、井戸水や浄化槽が必要となり、電気、ガス、インターネットなども整備状況の確認が必要です。

デメリット2:生活利便性が低い

市街化調整区域は、生活利便性が低いエリアです。

とくに、スーパーやコンビニ、小学校や病院など生活インフラが整っているか確認しておきましょう。

駅が遠いことも多く、車での生活が基本となります。

デメリット3:建て替えやリフォームの制限がある

市街化調整区域に建てた家は、建て替えやリフォームにも制限があります。

既存住宅であっても、増改築の際は行政の許可が必要となり、一度解体すると再建築が難しいケースもあります。

そのため、家を建てる際には、リフォームや増改築など将来的なプランについても十分考慮しなければなりません。

デメリット4:売却が難しい

市街化調整区域は、将来的に土地を売ろうとしても、買い手が見つかりにくい土地です。

建物の用途制限が厳しく、新しい家を建てるなど計画変更には再度許可が必要となるからです。

建築制限があるため売却が難しく、将来的に資産価値が下がりやすい点も考慮しておきましょう。

市街化調整区域に家を建てて後悔しないための注意点

市街化調整区域は、交通量が少なく、自然豊かな環境でゆったりとした暮らしができます。

ただし、法的な手続きやインフラ整備については、しっかり確認しなければなりません。

ここでは、市街化調整区域に家を建てて後悔しないための注意点をご紹介します。

「役所への相談」「インフラ整備」「生活動線」「建築制限」について参考にしてください。

役所に相談する

候補の土地を見つけたら、まず自治体の都市計画課など役所の窓口に相談しましょう。

市街化調整区域は開発を抑制するエリアであり、事前相談なく計画を進めると、家が建てられないなどのトラブルに発展しかねません。

そもそも家を建てられる土地なのか、誰が家を建てられるのかは大切なポイントです。

その土地に家を建てられる場合には、家を建築しやすい既存宅地か、開発許可が必要か、農地転用手続きが必要かを確認してください。

また、投資目的での住宅は建てられず、自己用住宅に限られます。

親の土地に子どもが家を建てる「分家住宅」は、自治体によって条件が異なるため確認しましょう。

インフラ整備を確認する

上下水道、ガス、電気、インターネット回線など、生活に必要なインフラ整備状況を確認しましょう。

水道は通っていなければ井戸を掘る必要があり、下水道がない場合には浄化槽(合併処理浄化槽など)を設置しなければなりません。

また、都市ガスが通っていないことが多く、プロパンガスを使うケースが多いでしょう。

さらに、幅4m以上の道路に建物の敷地が2m以上接していなければならない接道義務を満たしているかについても確認してください。

インフラの整備状況に合わせて、整備にかかるコストについても確認し、家の予算計画を立てることが大切です。

生活動線を確認する

市街化調整区域に家を建ててからの具体的な生活をシミュレーションしておくことも重要です。

スーパーや病院、駅や小学校など生活動線の距離や安全性を確認しましょう。

子どもの通学ルートやスーパーまでの距離など、生活動線を具体的にイメージしてください。

建て替えやリフォームの制限を確認する

市街化調整区域では、新築住宅だけでなく、建て替えやリフォームにも制限があります。

同じ規模・用途の建物なら許可が下りやすくなりますが、次のようなケースには注意が必要です。

建物の大きさを極端に変える

 2階建てから3階建て、床面積を大幅に増やすなど

用途を変更する

 住宅から店舗、住宅からアパートなど

家の位置を大きく変える

 敷地の端から端へ移動など

また、内装の変更や屋根の修理、窓の交換などの軽微なリフォームは許可不要です。

一方、増築や建物構造の変更など大規模な改修には「建築確認」や「都市計画法43条許可」が必要です。

リフォームのつもりでも、建築基準法上「増築」と判断されることもあり、事前に役所へ相談しておきましょう。

市街化調整区域でゆとりのある暮らし

今回のコラムでは、市街化調整区域に家を建てるメリット、デメリットを解説しました。

市街化調整区域では、一定条件を満たせば、自然豊かな環境で広い土地に家を建てられます。

ただし、インフラが整備されておらず、利便性が低いといったデメリットもあります。

まずは土地に家を建てられる条件などを自治体の窓口や専門家に相談しましょう。

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