親名義の土地に家を建てる!生前贈与or相続どちらを選ぶべき?

親の名義の土地に家を建てたい場合、「土地の名義は親のまま子名義の住宅を建てる」もしくは「土地の名義を子へ変更してから住宅を建てる」どちらかの方法を選ぶ事になります。

今回は、親の土地に家を建てる場合の2パターンを紹介いたします。

どちらを選択するとお得なのか、よくある疑問点も交えながら紹介いたします。

節税対策だけでなく、家庭の状況なども考慮して選ぶ必要があります。

是非最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 親名義の土地に家を建てる方法
  • 土地の名義変更の方法
  • 生前贈与と相続どちらを選ぶべきか
目次

親名義の土地に家を建てる2つのパターン

土地が親名義のまま、子名義の住宅を建てる事は基本的に可能です。

相続か生前贈与のどちらを選ぶかによって課税方法がかわります。

【相続】いずれ相続を受ける事を前提に家を建てる

土地の名義は親のまま、子名義の住宅を建てる方法です。

名義となっている親が亡くなった際、土地の相続を行います。

住宅ローンを検討している方は要注意!
土地が、すでに他のローンや債務の担保となっている場合は、新しく担保として利用する事ができないため、住宅ローンを組むことが出来ない可能性があります。

【生前贈与】贈与を受けてから家を建てる

住宅を建てる際に、土地の贈与を受けて名義変更を行う方法です。

土地の贈与には贈与税がかかるため、相続時精算課税制度または暦年課税制度のどちらかを選ぶ必要があります。

一度、制度を選んで実行してしまうと、課税方法を変える事はできません。

税額や状況を考慮して、どちらを選ぶか決める必要があります。

こんな場合は生前贈与

土地を早く活用したい・活用してもらいたい

土地が活用されていない場合や、贈与を受ける人が早く土地を使用したい場合には、生前贈与がおすすめです。

住宅ローンの利用を予定している方は土地を担保とするため、生前贈与が向いていると言えます。

相続時にトラブルとなる可能性がある場合

法定相続人が複数人いる場合は、遺言等が無い場合、法定相続人全員で遺産の分割が行われます。

土地の評価額が遺産の大半となる場合、土地を手放して相続を行わなければいけない可能性があります。

また、住宅を建てた子に土地を相続する旨の遺言があっても、不備があったり、遺留分を主張された場合、遺産を分割しなければいけなくなってしまいます。

こんな場合は相続

相続を受ける財産が相続税の基礎控除額を下回る場合

相続する財産の合計額が、基礎控除【3,000万円+600万円×法定相続人の人数】を下回る場合、非課税で財産を相続する事ができます。

土地など不動産の評価額は自分で判断する事が難しいため、評価額を知りたい場合は、税理士や不動産業者に相談しましょう。

小規模宅地等の特例を利用できる場合

小規模宅地等の特例とは、相続する土地の評価額を最大80%減額する事ができる制度です。

小規模宅地等の特例を利用できる条件

  • 亡くなった人が自宅として使っていた宅地
  • 亡くなった人が個人事業として使っていた宅地・貸地
  • 亡くなった人が貸家など貸付用としていた宅地
  • 亡くなった人が会社として使っていた宅地  など

判断が難しい場合は、税理士に相談しましょう。

詳しくはこちら
相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

生前贈与には2つの課税パターンが選べる

生前贈与を受ける場合、課税方法を2つのパターンから選ぶ必要があります。

制度の条件や課税金額を見比べてどちらが適しているか確認しましょう。

相続時精算課税制度

財産の贈与を受ける際に【2,500万円+基礎控除額110万円】まで非課税で受け取れる制度です。

基礎控除額は1年間で110万円となっているため、年間で110万円を越えなければ何度も非課税で贈与を受ける事ができます

土地の評価額が2,600万円を超えない場合に有効な制度です。

生前贈与の際に一度、相続時精算課税制度を適用させると、相続の際に【小規模宅地等の特例】を受ける事ができません。

小規模宅地等の特例とは?
相続を受ける際、亡くなった方が宅地等で使用していた不動産の評価額を最大80%下げて課税対象とできる制度です。
適応には条件があるため、判断が難しい場合は税理士などに相談しましょう。
詳しくはこちら:国税庁 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

暦年課税制度

暦年課税制度とは、1月1日から12月31日の間の1年間で、110万円まで非課税で贈与を受けられる制度です。

年間110万円を超えなければ、何度でも非課税で贈与が可能です。

110万円を超えなければ、贈与の申告は必要ありません。

相続時精算課税制度は、贈与者は贈与があった年の1月1日時点で60歳以上、受贈者は贈与があった年の1月1日時点で18歳以上でなければ利用する事ができません。

そのため、条件に当てはまらない場合は、暦年課税制度を適用する事になります。

【生前贈与・相続】結局どちらがお得なの?

相続時精算課税制度の控除額は【2,500万円+基礎控除額110万円】なのに対し、相続の基礎控除額は【3,000万円×(600万円×法定相続人の数)】となるため、一般的には非課税対象枠の多い相続がお得と言えます。

しかし、相続時にトラブルが予想される場合や、将来的に土地の評価額が上がる見込みがある場合などは、生前贈与を選ぶ事をおすすめします。

土地の名義変更を行うタイミングは、相続時の状況を予想して検討しましょう。

生前贈与や相続でよくある質問

生前贈与で暦年贈与や相続時精算課税制度を選ぶ際の注意点は?

土地の名義変更を行う場合については、土地の評価額が110万円を下回る可能性が低いため、利用者の条件を満たしていれば、相続時精算課税制度を利用する事がおすすめです。

相続時精算課税制度の条件を満たしていない場合は相続で土地の贈与を受けるか、条件を満たすまで親名義にしておく事も可能です。

しかし、住宅ローンを検討している場合は親名義の土地を担保としなければいけない可能性があるため、注意が必要です。

判断が難しい場合は税理士に相談しましょう。

上手く節税するためのコツは?

非課税額の枠が多ければ「お得」とは限りません。

相続時に法定相続人が複数人いる事が想定される場合は、生前贈与を受けて、土地の名義変更を行う事をおすすめします。

相続を行う時、財産の分割で家を手放す事になってしまうと、大きな損失となってしまいます。

判断が難しい場合は税理士に相談をした方が、かえって費用を抑えられる可能性もあります。

不安な場合は税理士に依頼をしましょう。

相続や生前贈与の手続きを代行してもらう事は可能?

相続や生前贈与の手続きや相談を依頼する先は、状況や依頼内容によって異なります。

  • 生前贈与に必要な書類作成
    司法書士に依頼するのが一般的です。
    書類の内容確認など一部のサポートであれば行政書士に依頼することでコストが下がります。
  • 生前贈与・相続の計画や節税の相談
    生前贈与や相続を計画的に確実に実行したい場合は、税理士に相談をしましょう。
    税の負担金額や土地の評価額、相続時の状況なども考慮して、適切なプランを立ててくれます。
  • 遺産分割や法的なトラブルに関する相談
    法定相続人同士のトラブルがすでに起こっている場合は弁護士に相談します。
    交渉の仲介も行ってくれるため、問題を早期に解決する助けになります。

節税額だけでなく状況に合わせた手続きがおすすめ

今回は親の土地に家を建てる場合に、生前贈与か相続、どちらを選ぶのが適切か、状況や節税の制度別に紹介いたしました。

どちらが適切なのか判断するには、非課税となる金額の枠だけでなく、家庭の状況や法定相続人の人数など、様々な要素から検討する必要があります。

せっかく建てた家に住めなくなってしまった!といった事にならないよう、計画的に手続きを行いましょう。

贈与や相続に関する判断や手続きは専門的な要素が多いため、「トラブルにならないから大丈夫」と過信せず、専門家に相談する事をおすすめします。

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